ご飯を炊く土鍋が欲しい、と思いはじめて数年。それは土鍋で炊くご飯が美味しいとこぞって皆が書き立てることに触発されてでもあり、いかんともしがたい炊飯器の不細工さに飽き飽きしてきたこともあり。ただ一番切実な理由は我が家の電力事情。
すぐヒューズが飛ぶので無駄な電力を減らしたい、というのが大きかったりします。大家さんが電気の工事をしてあげる、と言ってくれた時に「原発とかうんざりだし電力会社に頼りすぎずにやってみます」と格好つけて答えてしまったという。。。(汗)
(オフグリッドで自家発電でとかやってる人からしたらちゃんちゃらおかしいし、実際のところ電気に頼りまくった生活しているので、これはちょっとバカみたいな痩せがまんの意地に過ぎませんが)
慣れてくれば特に問題もないのですが、たまにうっかり炊飯器使用中にアイロンを使ったりするとアウト、ということになります。土鍋でご飯が炊けるなら電化製品が一つ減ってとても助かるな、というわけなんです。
ギャラリー百草へ
夫と息子がお昼寝をしていた先週土曜の午後、ふらりと娘を連れて多治見のギャラリー百草で開催されていた古道具坂田の展覧会を見に行ってきました。坂田さんの審美眼というものになるほど、なるほどぉと魅せられ、短くも濃い時間を過ごし、さて息子が起きる前に帰らねば、とさらっと店内眺めていたその時に、出会ってしまったのでありました。。。
カフェスペースの手前に1個だけぽつんと置かれていた土鍋。詳しいことは何も書いてなくて「土楽 ポトフ鍋」とだけありました。
両側の持ち手に手をかけて鍋を持ち上げた瞬間に感じたその絶妙な重さと持ち心地に、あっ、探していた土鍋はこれに間違いないな、と思ったのでありました。
ただ、ポトフ鍋ってお米炊けるの?蓋に穴がないけど何で?穴があるとないで何が違うの?が気になり店員さんにあれこれ質問したり、いったん駐車場に戻ってネット検索したり、普段鍋でお米を炊いてるとみたんに、穴っているの??の怒濤のライン攻撃をしたり。
結局よく分からないけどやっぱりもうこの土鍋しかないな、と意を決して我が家に持ち帰ったのでありました。
土楽の土鍋
さて、購入してみるまで土楽という窯が伊賀焼の有名な窯とは知りませんでした。ほぼ日で扱っているらしく、詳しいことがサイトに書いてありました。読み込むにつれ、この土鍋がそんなこだわりのもとに作られていたことに驚き、嬉しくなりました。
「土鍋の宇宙」なんて書いてありましたが、本当にこの土鍋を覗きこむとそこに宇宙があるようです。
伊賀焼の土は土鍋に適した土なんですね。
できれば地元の物を買いたいと思っていましたが、土により適性があると知ると、なるほどその土地、土地の歴史ある物を選ぶのもいいですね。
土鍋でご飯を炊いたら
ほぼ日サイトを見ながら目止め処理をし、ご飯を炊いてみました。
弱火→強火→沸騰したら中火で5分→弱火で4分→強火5秒→蒸らし10分
しっかりおコゲも出来、いつものお米が違って感じられるびっくりな美味しさでした。なんか甘い。
子供たちが美味しい、美味しいと言って頬張っておコゲの奪い合い。お米の消費量が増えそうです。
そして、鍋蓋の穴はなくても問題なくお米が炊けることが判明しました。
ありがとう、さようならNationalの炊飯器
以前勤めていた職場で炊飯器を持っていないと言ったら送別会の時に皆さんからプレゼントしてもらったこちら。
不細工だなんて書いてしまったけれど、今まで我が家の米食を支えてきてくれたことに心を込めてお礼を。今はもう会うこともない以前の職場の人達に思いを馳せながら。。。
追記。熊本の美味しい紅茶、ありがとうございました。
百草で土鍋の会計をしている時に、バス停までの行き方を尋ねているご夫婦がいらっしゃいました。どうやらバス停まで歩いてバスで多治見駅まで向かうようです。すっかり日も暮れて辺りは真っ暗。こんな中あの山道を歩いて行くのは大変です。駅まで車で送ってあげることにしました。
車中お話を聞くとお二人は東京からいらしたとのこと。目白の古道具坂田さんのお店のことをよくご存知で、美濃焼の古陶器がお好きで多治見・土岐を回られ、とお話を聞いているだけでとても楽しかったのに、降り際に百草の紅茶をお礼に、と言って下さいました。
早速入れてみたら本当に美味しい紅茶でびっくり。砂糖なしでも甘みがあるって本当です!最近すっかりコーヒー党になっていましたが紅茶の美味しさ再発見で嬉しくなりました。
素敵な素敵なご夫婦に感謝です。
土鍋一つで書くことが多過ぎですね。