瑞浪市陶磁資料館を館長さんに案内してもらいました

先週訪問した陶芸家 青山双溪さんの論文を掲載した資料が瑞浪陶磁資料館に置いてあると教えてもらったので早速訪ねてきました。

瑞浪市 陶磁資料館

東濃地域で小さい子供を持つ親が一度は訪れることになる場所、「化石博物館+サイエンスワールド+恐竜のいる公園+地球回廊(洞窟)」がセットになった魅惑の遊び場スポット=瑞浪市民公園。その敷地内にひっそりとたたずむ施設、それが瑞浪市陶磁資料館です。

瑞浪市陶磁資料館

入り口がちょっと分かりにくいんですが、化石博物館の隣にあります。

今回は幸運にも館長さんに案内して頂けることになりました。

瑞浪市出身 人間国宝 加藤孝造展示室

館内入るとすぐに加藤孝造展示室があります。

瑞浪市陶磁資料館 加藤孝造

現在は多治見市にお住まいの人間国宝 加藤孝造氏が出身地である瑞浪市に自身の作品を寄贈され、この展示室が出来たそうです。

2010年、瀬戸黒の技法で人間国宝に認定された加藤孝造氏の作品をじっくりと鑑賞できる展示室になっていますよ。

瑞浪市陶磁資料館 加藤孝造

こちらがその孝造氏の瀬戸黒の茶碗。

瑞浪市陶磁資料館 加藤孝造

異常に格好いい花器。

同じ黒でも釉薬の感じや地の土の部分の色が違うのは、上の茶碗が高温で焼いている時に窯から引き出して急冷させた「引き出し黒」なのに対して、下の花器はそのまま窯に残しておいた「置き黒」だからなんだとか。

個人的には置き黒のこんがり焼けた地の小麦肌とギラついていないマットな黒が素敵だな、と惚れ惚れ。

こういうことってやっぱり解説があって見るのと一人で何となく見るのとでは全然違いますよね。

瑞浪市陶磁資料館 加藤孝造

黄瀬戸の水指。ちなみに「きぜと」 ではなく 「きせと」なんですね。知らなかった!

ご本人が売らずに持っていた作品ってどんな意味があるんでしょうね。思い入れの強い作品ばかりなのかなぁと考えながらみるとなかなか見応えがあります。

瑞浪陶磁資料館の特徴

さて、ここからは常設展。

特徴1 いかに大量に生産するか、道具の歴史

瑞浪陶磁資料館は陶磁器そのものよりも陶磁器製造に関わる「道具」のコレクションに力を入れていることが大きな特徴です。

↓まずは土の採取や釉薬作りに欠かせない道具。

瑞浪市陶磁資料館

↓冬場、炭を入れて水を温め、手をあたためるための寒風呂。

瑞浪市陶磁資料館

↓釉薬をかける時に使う物。

瑞浪市陶磁資料館

こうした道具は陶磁器の大量生産を目指す過程でどんどんと変化していきます。

博物館の外に出るとびっくり!

瑞浪市陶磁資料館

水車!

明治時代に入り量産のために水車の動力を使って一度に大量にすり鉢で釉を作ったそうです。

瑞浪市陶磁資料館

その他にも工夫をこらした道具の数々がずらり。

瑞浪市陶磁資料館

資料館所蔵のこうした用具類は国の登録有形民俗文化財に指定されているそうです。

瑞浪市陶磁資料館

この地の焼き物の大半は高尚な工芸品などではなく、いかに大量生産するかを突き詰め発展してきた「産業」なんですよね。

特徴2 子どもにも分かりやすい!陶磁器に関する基本的な理解を深めるための展示

こちらの展示では地元の「焼き物」が食器以外にも使われていることを教えてくれます。

瑞浪市陶磁資料館

↓今でも販売されているならぜひ購入したい、陶製のテープカッター。

瑞浪市陶磁資料館

↓碍子。電信柱につけて電気を絶縁するためのもの。

瑞浪市陶磁資料館

↓確かに、レンガも焼き物だ。

瑞浪市陶磁資料館

↓様々な工業製品に使われていたんですね。

瑞浪市陶磁資料館

 

ここからは「焼き物の種類」

瑞浪市陶磁資料館瑞浪市陶磁資料館

↓絵付けの技法の違いを分かりやすく展示。

瑞浪市陶磁資料館

↓志野茶碗の断面を手にとってみることができます。

瑞浪市陶磁資料館

ほ〜、釉薬ってこんなに厚くかかっているんですねぇ。

とにかく手作り感満載、分かりやすく伝えようと工夫をこらした展示の数々でした。

企画展も開催されていましたよ。

瑞浪市陶磁資料館

近代の絵付け用具あれこれが並んでいました。

展示を通して見たら最後のクイズに挑戦。

どっちが手描きでどっちが転写?

瑞浪市陶磁資料館

瑞浪市陶磁資料館

特徴3 マニアックな陶磁器研究の資料を見れる

そして最後に資料コーナー。

瑞浪市陶磁資料館

資料館では定期的に「研究紀要」という研究資料を刊行しています。

この資料、パラパラとめくってみたのですがかなりマニアック。陶芸関係の技法や歴史、地域の特性などについてそれぞれの方の研究が発表されています。

先日訪問した青山双溪(双男)さんが書かれた論文
「桃山陶にみられる紐輪積み成形技法についての一考察 瀬戸黒・黒織部・鳴海織部を中心に」
は実際に実演して見せて頂いた技法について書いてあり興味深く、

あとはピンポイントに
「明治時代、駄知の山ト佐野とやきもの」
「多治見市池田町の焼物」
「下石桜ヶ根窯」
とそれぞれの地域の窯の歴史なんかの研究もあったり。

これから各地の窯巡りをする時に参考になりますね。多治見市図書館でも借りられるみたいなのでこれから利用させていただきます。

普段は職員の方のガイドはないようですが、質問すればきっと色々教えていただけると思います。館長さん、とっても面白い方でしたよ。丁寧な解説をどうもありがとうございました。

小さい資料館ですが器好きなら楽しめる穴場スポット。お子さんと公園で遊びついでに来られるのもいいかも、です。

瑞浪陶磁資料館
瑞浪市明世町山野内1-6
入館料 大人200円