毎月ヨガでお世話になっている虎渓山 徳林院のご住職に案内して頂き、草の頭窯(くさのかしらがま)を訪ねてきたのでその様子をお伝えします。
多治見市 小名田町 草の頭窯
虎渓山 永保寺のほど近くにある草の頭窯。
こちらは1966年に先代の青山禮三(れいぞう)氏と息子さんの双溪(そうけい)氏で開窯された窯です。
草の頭とはこの辺りの字名からきているそうです。
ご住職に教えてもらいはじめて知ったこちらの窯で青山双溪さんからお話を聞くことができました。
たくさんのお話を聞いたのですが、まずは双溪氏のお父様で先代の禮三(れいぞう)氏についてまとめてみます。
青山禮三(れいぞう)氏の描く禅の世界
今年のはじめに亡くなられた先代の青山禮三氏は呉須の染付技術が高く評価されていた方だそうです。
虎渓山永保寺の老師様(現在の南禅寺の管長様)と懇意にされていたということで、仏教への造詣が深かったという禮三氏。禅宗の問答をモチーフに作品を多く描かれたそうです。
「乾坤只一人」という禅語の書かれた茶碗。
こちらは「十牛図」という禅の悟りの道筋を牛で表した作品。
禅の世界と聞くと何だか難しい!と身構えてしまいますが、禮三氏の描くどこか愛嬌のある動物達の絵をみるとすっと心に入ってくるものがあるような気がします。
禮三氏の残された数々のスケッチを見せていただいたのですが、これが何とも愛らしくて。
壁に貼られた生き物のスケッチ。
絵と書を交えたスケッチ帳。
禮三氏はこの場所で絵付けをされていたそうです。
永保寺の老師様と禮三氏の深いつながりについて、当時永保寺で修行されていたご住職が色々とお話しをしてくれました。
アニメ一休さんの世界とシンクロさせながら(何と限られた私のお寺のイメージよ!)禮三氏と雲水さんとの交流の様子、老師様と禅問答をしそれを器に表現していく過程などに思いを馳せ、永保寺と地元の陶芸家とがこのように繋がっていたのか!と、感慨深いものがありました。
白天目を再現した青山双溪(そうけい)氏
絵付けを専門とされていたお父様とはまた違った道を極められているのが息子さんの双溪氏。
室町時代の「白天目」を500年ぶりに再現されたという方であります。小名田町内の自宅近くで白天目の陶片を発掘、以後研究を重ねてその再現に35年の歳月を費やされました。
古い陶片をみてはトライアンドエラーを繰り返し、研究を重ねてこられた双溪氏。
様々な研究論文も執筆もされています。
取り憑かれたように、とご本人もおっしゃっていましたが、並々ならぬ情熱をもって調査にうちこまれてきた様子が言葉の端々から感じられました。
目の前で轆轤での成形を見せて下さいました。
技法の違いによる出来上がりの差、というものについて目の前で見ることができたのは貴重な体験でした。これは聞いただけ、読んで知っただけではなかなか分かり得ないこと。
私は作り手になりたいわけではないけれど、茶碗の「見方」の手がかりを基本から教えて頂けてとても感動しました。
そしてこちらが双溪氏の作品。
何でしょう、もうそれはただそこに美しくあるだけ、という。
様々な苦心の末に生み出された作品だということはお話を聞いて十分にわかるのですが、作家の苦労の軌跡などは軽やかに吹き飛ばす「茶碗の美しくそこにある姿」に何とも心が震えます。
今月末には岐阜の高島屋で個展をされる双溪氏。百貨店で展示されるような高価な抹茶茶碗をなど縁のない世界だわ、なんて思っていたのですが今回はぜひともじっくりと個展で作品を見てみたい!そう思わずにはいられませんでした。
個展は6月28日〜7月4日までの開催です。
詳しくはこちら
ひたすらに研究を重ね、作品を作り続ける双溪氏。このような方から直接お話を伺うことができ、大変に有意義な時間となりました。
個展前のお忙しい中お時間をくださった双溪氏、そして案内をしてくださったご住職、本当にありがとうございました。
そうそう最後に双溪氏の息子さんが冷やしうどんを作ってくださいました。
食べ終わると可愛いうさぎが顔をのぞかせましたよ。
どうもご馳走様でした。