岐阜県多治見市笠原町はモザイクタイル生産シェア全国一の町です。この町に残るモザイクタイル製品を展示しその魅力を発信する場として6月4日にオープンしたばかりの多治見市モザイクタイルミュージアムへ行ってきました。早速そのレポートをお送りします。
インパクトのある建物
このミュージアムの最大の見せ場はその建物です。有名な建築家の設計らしく遠くから建物が見えてくるだけでなんだかワクワクしてきます。
入り口がとっても可愛いです。
１階はミュージアムショップとワークショップスペース。
２階は産業振興のフロア。タイルのカタログなどが並びタイル施工会社さんを紹介してもらえるショールームのようなスペースになっています。インテリアにタイルを取り入れたい方などはこちらで相談にのってもらえるようでしたよ。
上階へと続く階段
ミュージアム？いや資料館かな
３階は笠原町のタイル産業発展の歴史をパネルと展示物で紹介するスペース。
↓先日訪れた名和昆虫博物館の建物の外壁についても説明が！タイムリーでなんだか嬉しい。
４階は開放的な展示室。
かまどや洗面台、浴槽などが展示されています。
白のタイルが気持ちの良い贅沢な空間です。
とても素敵な建物と空間でした。
良いとこなのでオススメです！ってな具合で締めくくりたいところですけど、ここからはちょっと辛口で。
モザイクタイルミュージアムは随分とお金をかけて作った地元の資料館という印象でした。
博物館（はくぶつかん）とは、特定の分野に対して価値のある事物、学術資料、美術品等を購入・寄託・寄贈などの手段で収集、保存し、それらについて専属の職員（学芸員、キュレーターなど）が研究すると同時に、来訪者に展示の形で開示している施設である。
「研究」や「キュレーション」という側面がなく今まで地元の有志の方が収集してきたモザイクタイル製品を展示しているだけの常設展を行っているこの場所は厳密にはミュージアムとは呼べません。ただの資料館です。日本中いたるところにそんな”名ばかりミュージアム”は存在しているので今さらあえていうことでもありませんけどね。
（訂正１：調べたら学芸員の方もいらっしゃると分かりました。研究機関としての側面もこれから発揮されてくることと期待です。訂正２：企画展スペースもかなり小さいですがあります。なので常設展だけではないです。こちらも今後の企画に期待です）
ただ”ミュージアム”を期待して行ってしまった私には少々がっかりな内容でした。
常設展の内容は通り一辺のモザイクタイルの説明とあとは収集されたモザイクタイル製品の展示に終始。製造方法についてなどもっと詳しく知れたら良かったのに、と思いました。モザイクタイルは歴史を辿ればメソポタミアやイスラム文化に通ずるものなので勝手にそのあたりも盛り込まれているのかと思っていましたがそのような規模のものではなくあくまで地元に残る（訂正３：収集は日本各地で行われていました）大正時代以降のモザイクタイル品の展示です。
地元産業のPRをするショールームとしての役割であればそれはそれでもちろん意義のあるものだけど、それをミュージアムと呼んでこんなに立派な建物を建ててしまって果たして大丈夫なのかなぁと地元民としてはそんなことを思わずにいられませんでした。しばらくは特徴的な建物の魅力で観光客を惹きつけるかもしれないけれど５年後、１０年後はどうなっていくだろうか、とか。
この気持ちの良い建物、空間を活かした多彩なイベントなどが企画され、私の不安がかき消されるような末長く愛される施設となってくれたらいいなぁと願います。（にしても隣接する駐車場狭すぎてイベントしても集客できないんじゃ？とかまた別の不安もあったりしますが）
ちょっと微妙な内容になってしまいましたが、地元の真の魅力を伝えていきたいブログとしてはきっぱりと正直なところを書いておきますね。
常滑にあるINAXの世界のタイル博物館みたいなタイルに関する知的好奇心が満たされる場所を期待して出かけるとがっかりしてしまいますが、”モザイクタイル資料館”と思って昭和レトロなタイルの世界を味わいに出かけるのであれば入場料300円と良心的ですし、建物も面白くて楽しめるのではないかな、と思ったりします。遠方からこれだけを目当てに来られるとちょっと辛いかな、と個人的には思ったりしましたが。
多治見市モザイクタイルミュージアム
多治見市笠原町2082-5
TEL.0572-43-5101
休館日：月曜日（休日の場合は翌平日）
