多治見市・幸兵衛窯の「窯焚き」見学

ミシュラン2星を獲得した観光スポットが多治見にはある

多治見市にはあんまり知られていませんがフランスのミシュラン観光名所ガイドブック、ミシュラングリーンガイドジャポンで2星を獲得した観光スポットがあるのをご存知ですか?それは市之倉町にある「幸兵衛窯」です。1804年に開窯した歴史ある窯。観光スポットとして「寄り道する価値がある」とミシュランに評価されています。

幸兵衛窯の長い歴史の中で6代目の故 加藤卓男氏はペルシア陶器の研究を重ね、ラスター彩、正倉院三彩の再現などの活動が評価されて1995年に人間国宝に認定された方。その卓男氏の作品やペルシア研究の軌跡をたどることができる資料館が幸兵衛窯には併設されているのですが、これがなかなかの見応えなんです。

卓男氏は現在の日本の北欧ブームの超先駆者?1965年にフィンランドの工芸美術学校に留学、その後イランに行きペルシア陶器の研究という道を辿られます。イランでの研究時のスケッチやメモなどが展示されていますがその記録の緻密さには驚かされます。また卓男氏が集めたと思われるペルシアの古陶磁や置物など博物館級の品々がセンス良く陳列されていて「寄り道する価値」大有りの観光スポットです。

幸兵衛窯
幸兵衛窯 資料館
幸兵衛窯
幸兵衛窯資料館に飾られているオブジェ

 

普段訪れても十分な見応えですが春と秋の2回行われる幸兵衛窯の蔵出し市はお得に作品を購入できて色々なイベントもあってオススメですよ。詳しくはこちらの記事にも書いています。

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幸兵衛窯の窯焚きは見学できる!

今や多くの窯元はガスや電気の窯を使って陶器を焼成させていますが、幸兵衛窯では年に3回、半地上式穴窯(桃山時代の様式を昭和47年に再現して作れた窯!)で薪を使って焼成を行っています。それを窯焚きと言うようです。たまたま幸兵衛窯のFacebookで「窯焚き見学できますよ」という投稿を見てその晩22時ごろ覗きに行ってみました。

真っ暗闇の中を窯を目指して登っていくとほんわかと建物の明かりが見えてきました。その建物の裏手に窯があります。おぉ、本当にやっているんだ!と興奮する気持ちをおさえて窯に到着。この日は8代目加藤亮太郎さんとお友達とみられる方が数名いらっしゃいました。突然現れた私たちを迷惑がることなく受け入れてくださり快く見学をさせて頂きました。

幸兵衛窯

この窯焚き、5日間ぶっ通しで(もちろん夜通しで)行われるのだとか。この日はたまたまお友達がいらしていたようですが一人で番をすることもあるとか。で、番って何をするかというと5分おきぐらい(確か)にひたすら窯に薪をくべるというかなり地道な作業。(私達が見学していた間にみた作業がそれだっただけで他にも色々あるのかもしれないけれど)最初は初窯焚き見学だぁ!と興奮して見ていたけれど実際やっていることというのは思いのほか淡々とした地味な作業でこれを夜通し一人で続けるというのは精神的にも体力的にも相当タフでないと厳しいだろうな、と思いました。

窯の周りには大量の薪が積まれていましたがこのペースで薪をくべていくとあっという間に使い切ってしまいそうです。

幸兵衛窯幸兵衛窯

これだけ大量の薪が必要で手間がかかり、それでいて薪窯で焼成した作品はムラが多く成功する作品の率はうんと低いのだとか。それでもこの窯で作品を作る理由は「ホームランが出るから」と亮太郎さん。打率は悪くてもホームラン級の凄い作品が焼ける、なるほど。

幸兵衛窯 窯焚き

今回私たちが見学したのはたかだか1時間ぐらいのことでしたが改めて陶器のことを「焼きもの」ということの意味を思い知った気がします。ひたすら薪をくべて焼き続ける。それが「焼きもの」なんだな、と。

5日間窯で焼いた後は1週間かけて冷まして作品が出来上がるようです。

今回私たちが見学した窯焚きの作品は6月の展覧会向けの作品だそう。出来上がった作品を見に展覧会に行ってみたいなと思いながら窯を後にしました。

幸兵衛窯

ということで幸兵衛窯の窯焚きは自由に見学が出来るようです。焼きものが焼きものたる所以を体感しに窯焚き見学、地味ですがオススメです。

開催時期は大々的には告知されていないので幸兵衛窯のFacebookでチェックしてみましょう。

幸兵衛窯
場所:岐阜県多治見市市之倉町4-124
電話:0572-22-3821
Facebook:https://www.facebook.com/minokoubeigama