「1964 証言-現代国際陶芸展の衝撃」展をみてきました

岐阜県現代陶芸美術館で現在開催中の展覧会「1964 証言-現代国際陶芸展の衝撃」をみてきました。

1964 岐阜県現代陶芸美術館

現代国際陶芸展

この展覧会は1964年に日本ではじめて世界各国の現代陶芸を集めた展示を行った「現代国際陶芸展」を当時の記録とともに再現した内容になっていました。

海外作品を集めたのは小山冨士夫。自らも陶芸家であり、陶磁器研究家でもある小山氏が世界各地を飛び回って集めた作品がずらりと並び、会場には小山氏の当時の日記や記録もあわせて展示がありました。

南アフリカ、ギリシャ、イギリス、フランス、アメリカ、オランダ、イタリア、フィンランドなどなど。世界各地から集められた「1964年」当時の現代陶芸。小山氏の目を通して、氏自ら現地を訪ねて集めた作品であるというのが面白いな、と。

ハンス・コパー、ルーシー・リー、バーナード・リーチ、リサ・ラーソンなどの有名どころの作品も並びつつ、今ネット検索しても全くヒットしないような作家のものまで。あとは画家サム・フランシスの陶芸作品なんていうものもあったり。

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イタリア
ニーノ・カルーソ

オランダ
ジョニー・ロルフ&ジャン・デ・ローデン夫妻

フランス
イヴ・モイ

小山氏が自らおもむき集めた世界の陶芸作品を見るという意味での楽しみが一つ。

日本の現代陶芸の先駆集団 走泥社

世界の作品と同時に当時の日本の作家達の作品も一緒に展示がされていました。伝統の枠組みからなかなか抜け出ることのできなかった日本陶芸の中でも注目は八木一夫、山田光、鈴木治らが中心となって1948年に結成した「走泥社」。

実用性を削ぎ落とした、いわゆる「オブジェ焼き」という新たなジャンルを開拓いたしました。彼らと志を同じく走泥社に所属した作家たちの前衛陶芸への探求は、1998年に解散するまで50年の長きにわたって続きました。 http://www.museum.or.jpより

個人の方のブログのようですが、このページに画像がたくさんありました。

http://shingori.com/exhibit/sodeisha-走泥社/

日本でこんな動きがあったことを知らなかったのでこれまた面白い発見でありました。

陶芸が現代アートの表現をすることの複雑さ

この日は「1960年代のアートシーン」と題してこんな対談が美術館で開催されていました。

1964 岐阜県現代陶芸美術館

60年代の日本のアートシーンを絡めながら走泥社、八木一夫、そして最近の世界のアート動向まで様々なお話しが聞けました。

1964 岐阜県現代陶芸美術館

用の美であるところの陶芸で現代アート表現をすることについての建畠先生のお話がなるほど、でした。

1964 岐阜県現代陶芸美術館

以下私のメモ書きから。(正確な内容ではないかもしれないのであしからず)

長く具象美術がアートであったことに対して、再現性ではないアート=抽象が生まれた。さらにポップアートが登場し、コップを描かずにコップそのものを持ってきてこれがアートだと言って美術の概念を解放した。ところがこれを陶芸でやることは難しい。元々が実用品であるところの焼き物のコップを持ってきてもそこに可視転換は生まれない。用の美である陶芸で現代陶芸表現をすることの複雑さみたいなものがここにある。

というようなお話でした。


陶芸がなかなかアートの分野に含まれないなかにあって、早い段階から前衛陶芸、現代陶芸というものに向き合ってきた八木一夫についてもっと知りたくなりました。

多治見図書館で早速八木一夫の本を探してみようと思います。

お茶の時間

同時開催の「お茶の時間」展をチラリと観てこの日は終了。

1964 岐阜県現代陶芸美術館

1964 岐阜県現代陶芸美術館

「1964 証言-現代国際陶芸展の衝撃」展、1/28まで開催です。

岐阜県現代陶芸美術館